2月某日、イラスト大賞の最終選考が行われました。
結果発表と審査員の先生の選評を掲載いたします。

大賞(賞金50万円)
該当者なし

優秀賞(賞金30万円)
坂本あかね(さかもとあかね) 神奈川県

審査員コメント
 カラーもモノクロも完成度が高い。キャラクターのデザインもうまいし、世界観も連想できる。ただ、人物に比べると魔物キャラの魅力が乏しい。魔物が男女のキャラと同じくらいオリジナリティをもって描けるともっと世界観が広がっていくと思う。

受賞者コメント
この度は素晴らしい賞に選んで頂き光栄です。審査員さまのコメントも有難く頂戴して、よりいっそう精進していきたいと思います。
えーと…この喜びを上手く文で表せないのが歯痒いですが最後に一言だけ。
やったね☆



入賞(賞金10万円)
遠山愛(とおやまあい) 愛知県

審査員コメント
 圧倒的にカラーがいい。他のたくさんの作家たちと違い、全く別のアプローチで描いている。太いラインの中に面構成の色がのったキャラクターというのは、(子ども向けは多いけど)大人向けは少ないと思う。この方向に特化していけば、もっと良くなると思う。

受賞者コメント
このような賞をいただきとても光栄です。
今回、自分の作品を高く評価していただいたことは、自分にとって非常にプラスになりました。
これからも魅力ある作品を描いていきたいと思います。


蟹江ヒカル(かにえひかる) 埼玉県

審査員コメント
 完成度としてはモノクロが断トツに良い。キャラクターに上品な色気がある。「はかない」とか「せつない」とか、そんな物語のイラストレーション(挿絵)であれば、一番しっくりくる。意図的なのか、2枚の絵の描き方が違う。目とか鼻とか、中間色の使い方も。まだ迷っているのか…。小物の使い方はすごくセンスがある。

受賞者コメント
この度は入賞に選んでいただきありがとうございました。
イラストを描きつづけていて本当に良かったです。今後の励みにさせていただきます。審査員の先生のアドバイスを参考に、今以上に腕を磨きたい所存です。



編集部期待賞(奨励賞)
サナダシン 愛知県

審査員コメント
 絵の完成度は、一定のレベルまでいってる。ただ、どうしても既存のキャラクターのイメージになっているので、損している。画力としては十二分なので、あとは、キャラクターをもっと吟味することが重要。


ゆぽぴ 広島県

審査員コメント
 サブ要素である妖精だとかオブジェとかを描く愛情と、その絵の中心のキャラクターへの愛情が、均等になってしまっている。プロを目指すなら、絵の中の「捨て」をちゃんと作ること。端っこに居るキャラクターにあえて愛情を注がない描き方ができてくれば、中心のキャラがもっと浮かび上がるはず。


岩澄龍彦(いわずみたつひこ) 埼玉県

審査員コメント
 ディテールのフィニッシュの仕方、構成は問題ない。一番大きいのはデッサン力です。今の描こうとしているタッチと世界観の中でのデッサン力で言うと、まだ力が足りない。まずは、基本のデッサン力を身につけること。


メリノウール 大阪府

審査員コメント
 デッサン力が足りない。ただ、それをカバーするような構成とか、色彩とかで得している。魚眼っぽいアプローチなどは、プロでもなかなか難しい。ただ、描こうとしている姿勢が見えるので、伸びていく可能性があると思います。


総評
 毎回、優秀賞のような傾向の作品が多い中、今回は、まったく別のアプローチの作品が上位(入賞)に入ったことが良かった。新しいキャラクターを創造するという意図で作品を募っていることを考えると、遠山さんのアプローチは、非常に興味深い。嗜好性と資質は違うから、あえて流行や好きな世界とはまったく別のものにチャレンジするのも良いと思います。次回も期待したいですね。




2月某日、後藤竜二先生とあさのあつこ先生による最終選考会が行われました。審査結果と、審査員の先生方の選評を掲載いたします。

大賞(賞金100万円+カラフル文庫にて刊行)
該当作なし

優秀作(賞金50万円)
該当作なし

入選(賞金10万円)
ずめの日名子(福井県)
「機械じかけのアン・シャーリィ」

審査員のコメント
 身を乗り出すほど魅力的な出だしだった。主人公・スクラップ業者父子の設定もさることながら、とつぜん登場してハチャメチャの活躍をする少女(人間型重機G1)や哀愁漂うA1車が絶品だった。悪がチャチすぎるが、近未来社会の非人間的構造、「蒸発処理法」とは?等の枠組を、作者の中で明確にするだけで大変身するハズの作品。スクラップにするには惜しい。G1、カムバック!
(後藤竜二)

 これはおもしろかった。作者の書く力、読ませる力にうなりました。場面、場面が生きています。アンというロボットの設定が秀逸でした。漫画のアラレちゃんを思わせる破天荒なパワーととぼけた味わいが好きです。主人想いの自動車ロボもすてきでした。ただ、人間が書けていない。それは、物語にとって致命傷になりかねません。人間、特に父親像があまりに希薄で、物語の核ともなる彼の行動の意味と心情が、まるで迫ってきませんでした。人間を本気で捕まえ、父と息子の上質の物語としてほしいと願います。
(あさのあつこ)

受賞者コメント
混沌としながら寂れゆく田舎町を自転車で走っていると、様々な物語と出会います。この作品も、そうして出会った物語のひとつでした。今回のご評価を賜り、大変励みになりました。今後も一層精進を重ねる所存です。


奨励賞
安西みゆき(北海道)
「フローレンス」

審査員のコメント
 抜群に怖い物語。この構想力、この文章力をもってすれば、近未来の街に捨てられた姉弟、そして、きわめて暴力的でグロテスクで魅力的な女性「百鬼」のカラミは、もっと深く、たしかなものとして描き上げられるハズだ。やはり自作の背景である社会構造の把握不十分が原因なのではなかろうか。無念。(後藤竜二)

 これは、一番、どきどきさせられました。バイオレンスを哀しく、美しく描ける筆力に感心もしました。抱いた弟の変化におののく少女の心、おれを殺すかおまえを食わせるかと問いかける怪物化した少年の心、圧倒されました。しかし、作品自体は尻すぼみで、萎えてしまった感を否めません。こんな安易な終わり方に終着しては、せっかくの迫力ある設定も場面も生きてはきません。物語を作るのではなく、真剣に渾身の力で挑んでほしいものです。そうすれば、みんな幸せみたいな消化不良の終わりに行き着くはずがないのですが。
(あさのあつこ)

受賞者コメント
私がチビ助だったころ、多くの物語が私の友達でした。今度は私がそんな気持ちで小説を書いています。受賞の通知は大変嬉しく、また身が引き締まります。奨励賞を頂きまして、本当にありがとうございます。


南野海(東京都)
「魚竜の海」

審査員のコメント
 海中と魚竜たちの描写は迫力があって引き込まれるのだが、人間たちがいずれも影薄く、したがって、「珍獣発見話」で終わってしまったように思う。せめて、主人公の少年、ダイビング姉妹、そして魔女博士くらいは、魚竜なみに気合を入れて描いてほしい。ひょっとすると『ジョーズ』を超えるかも知れない。
(後藤竜二)

 もっとも筆力を感じた一編でした。海の美しさも怖さも、魚竜の動きもリアルに伝わってきて、ぞくぞくしました。書ける方だなあというのが、読み終わった後の正直な感想です。でも、壮大な物語のわりに、おもしろくないのは、やはり人間一人一人が薄っぺらだからでしょう。両親を失い南の島に越してくるしかなかった少年を、この作者はどこまで本気で描こうと苦しんだのでしょうか。場面より、テーマより、まずは人です。
(あさのあつこ)

受賞者コメント
海の中は、実際に行くことのできるファンタジー世界。その中での冒険を子供たちに楽しんでもらいたいと思って書きました。今回の奨励賞受賞、たいへん光栄に思います。ありがとうございました。


総評
後藤竜二先生
 選考会が終わってからも、この三作品についての話が続いた。それほど魅力的な作品が集まり、嬉しかった。しかし、自分の作品の背景(社会構造)をなぜもっと明確にしようとしないのか? 作品に書かなくても、作者はその世界の大枠を知っていなければ踏み出せない。登場人物たちと共に踏み出し、その世界の細部で闘い生きる。その覚悟がほしい。作者が愛していない主人公を読者が愛せるわけがないのですから。

あさのあつこ先生
 今回は、読み応えのある作品が並び、読んでいて楽しかったです。最終選考に残った作品はどれも、なかなかに優れ物ばかり。最初は、「へぇ、これから先はどうなるんだろう」「おっ、なかなかにおもしろそう」と一読者になって、わくわくさせてもらいました。物語において、出だしは重要です。その点では三点はどれも合格と言えるでしょう。ただ、そのおもしろさが継続していかない。作者自身が息切れして小器用に、つまり、いささかも新鮮味のない終わり方に収斂させてしまいました。無念です。もう少しパワーをためて、己が物語と対峙してください。